企業インタビュー#5 〜株式会社太陽都市クリーナー〜

こんにちは。びんごデジタルラボ事務局です。

インタビュー第5弾は,「DIGILAB7」にもご登壇していただいた「株式会社太陽都市クリーナー」様です。

企業 Profile
企業名 株式会社太陽都市クリーナー
本社所在地 〒726-0012 広島県府中市中須町1515
業務内容 ・一般廃棄物の収集運搬
企業ホームページ https://www.fuchu-ttc.co.jp/

しかも今回は,福山市様とのコラボレーション企画となります。福山市デジタル化推進課様が,今年度より始められた「デジタル企業現地見学会」の現地見学会の様子をお届けします。

この「デジタル企業現地見学会」は,中小企業のデジタル活用を促進するため,身近な企業のデジタル活用の取り組みを知ることができる企画になっております。
2023年度(令和5年度)は全4回の開催が予定されており,第2回目の太陽都市クリーナー様で開催された見学会に,多数の企業様と一緒に参加してきました。

この記事でわかること
  1. クラウドツールを導入することで変化する会社風土
  2. 従業員全員で取り組む働き方改革の必要性

デジタル化への取り組みが成功する秘訣を知る

今回の現地見学会は,下記のような2部構成となっていました。

  • 第1部は,過去の経緯から現在に至るまでの要点をスマートにまとめられた資料のご説明
  • 第2部は,導入されているクラウドツールの活用方法を実業務に沿ったご説明

森山社長の質の高いプレゼンテーション技術と熱い想いの籠ったトーク,クラウドツールに慣れている従業員による手際のよい操作やご説明に魅了されました。本記事では,森山社長の90分にも及ぶご説明の中から筆者の印象に残っている4点を厳選してお届けします。

★ポイント4選★

  1. ① デジタル化を進めたきっかけ
  2. ② ターニングポイントとなったツール6選
  3. ③ クラウドツールをスムーズに導入するコツ
  4. ④ 働き方改革は従業員のために

デジタル化を進めたきっかけ

デジタル化推進が飛躍的に進んでいる太陽都市クリーナー様ですが,以前はデジタル化の真逆を行く企業で,森山社長が入社された2006年当時は連絡漏れ・作業ミス・請求間違いなどでクレームやトラブルが日常茶飯事で,従業員のモチベーションも下がる負のスパイラルに陥っていたそうです。

なんとか会社を立て直そうと考えていた矢先に西日本豪雨に直面し,幸いにも会社自体に被害はなかったものの,「一つ間違えれば自社も被害にあっていたかもしれない」と感じた森山社長は,事業継続計画の観点からクラウド化(デジタル化)を本格的に進めることを決意されました。

ターニングポイントとなったツール6選

太陽都市クリーナー様では,Chatworkを皮切りに現在12個のクラウドツールを導入されています。
その中でも森山社長がクラウド化を進めていく上で大きなターニングポイントになったと感じたツールとその導入効果を紹介します。

クラウドツール 導入効果
Chatwork(※1)
  • クラウド化を進める第一歩となった社内連絡ツール。
  • 情報・作業の共有漏れを防止することに成功。
MOT/TEL(※2)
  • 固定電話における「電話当番」の撤廃に成功。
マネーフォワード(※3)
  • 会計の知識と経営判断を,迅速化することに成功。
freeeサイン(※4)
  • 契約書を電子化し,収入印紙の節約に成功。
ペイトナー請求書(※5)
  • 請求書管理・支払いを簡素化することに成功。
KING OF TIME(※6)
  • 勤怠管理・有給管理の工数削減に成功。
  1. ※1:クラウド型ビジネスチャットツールで,メッセージのやりとりだけでなく,タスク管理やファイル共有,ビデオ通話などが可能
  2. ※2:スマートフォンやPC等のデバイスで,現在利用中の固定電話番号からの発信や固定電話番号への着信及びスマートフォン等を内線として活用できるクラウドPBXサービス
  3. ※3:明細データの自動取得,仕訳の自動入力などの機能で会計業務の効率化を実現する会計ソフト
  4. ※4:文書の作成,締結,管理まで,契約業務の煩雑なプロセスをオンラインで完結させるワンストップ型の電子契約サービス
  5. ※5:取引先から受け取った請求書の回収・電子化・振込を全て自動化できる受取請求書処理サービス
  6. ※6:パソコンとインターネット環境だけで利用できるクラウド型の勤怠管理システム
画面右側が森山社長

画像:画面右側が森山社長

クラウドツールをスムーズに導入するコツ

太陽都市クリーナー様も,これまでのインタビューで紹介した企業様と同様に「苦手意識」や「ネガティブ意見」といった「反対派」の意見に直面されたそうです。

太陽都市クリーナー様は,これらの課題を解決する策として「遊び」を重要視されました。
クラウドツールをすぐに業務に活用するのではなく身近で親しみやすいものと感じてもらう為に,朝礼をオンラインで実施したり,スマートスピーカーで音楽をかけたり天気を聞いてみたり,雑談チャットで仕事以外の会話をしたり,テレワーク体験ルームの設置等をすることで,クラウドツールに「親しみ」を持てるように様々な仕掛けをされたたそうです。

全従業員でこうした取り組みを続けた結果,クラウドツールを使うことが社内の「当たり前」の光景となり,業務の効率化や業務品質の向上を実現されました。
クラウドツールを上手に業務で活用されているように感じたため,活用のポイントについて質問してみたところ,「柔軟な対応ができるためのルールづくり」と教えていただきました。

今までのペーパー主体で立てつけていた業務フローにクラウドツールを導入するだけではなく,クラウドツールを主体とした業務フローへ変更していくことで無駄を省くことができ,効率化に繋げられたそうです。

また,森山社長が感じたクラウドツールのメリットを2つ教えていただきました。

  • クラウドツールの導入費用はそんなに高いものではないので,いろいろ試してみて合わないと感じれば止める選択も可能なこと。
  • クラウドツールを利用することで新規顧客との接点が産まれてくること。

今後も,いろいろな取り組みをすることで,残業ゼロや週休三日制,全従業員の年休取得率の向上を目指していくと言われていました。

働き方改革は従業員のために

このような業務改革の取り組みがもたらした副次効果についても,お話しいただきました。

なんと,離職率の低下と就職希望者の増加にも影響をもたらしたそうです。太陽都市クリーナー様も以前は求人に課題を抱えており,ハローワークや有料求人誌を活用するも手応えは薄かったそうです。
そこで,「見た目だけの条件(給料・休日など)だけではなく,中身(社内の雰囲気や働き方)も知ってもらうことが大事」だと考えて,「社内環境づくり」や「地域への関りや社会への貢献」を重視されました。

例えば,前述にもあったようなチャットツールによるコミュニケーションの活発化により社内の雰囲気が明るく楽しく変化したこと,更にオフィスのリフォームなどの整備も進められました。これらの効果で,今いる従業員がより楽しみながら業務をしている雰囲気が伝わってくる職場環境になったそうです。

『従業員を大切にしている「ありのままの姿」をSNS等で発信していくことが,就職希望者も増え,且つ離職率の低下に繋がる』と言われたことに筆者も共感しました。

オフィス見学を通して

プレゼンが終わった後,実際にオフィスを見学させていただきました。

オフィス見学では,プレゼンテーション内にあったクラウドツールを実業務でどのように活用しているかの説明がありました。モデルルームの様なオフィスにも驚かされましたが、従業員の皆さまが生き生きとされている雰囲気が伝わってきました。
参加された企業様も,従業員によるクラウドツールを活用した業務の実演を見たり説明を聞いたりして,クラウド化による業務変化を実感されたようです。また、積極的に意見交換もされていました。

30分ほどオフィス見学をさせていただいた後に,企業見学会は終了となりました。

オフィス見学の様子

画像:オフィス見学の様子

インタビュー記者の感想

クラウドツールの導入による業務効率化だけでなく,持続可能な会社経営の秘訣を学ばせていただき,あっという間の90分間でした。貴重な体験をさせていただきありがとうございました。

取材者:びんごデジタルラボ事務局