企業インタビュー#15 ~株式会社フューレック~

こんにちは。びんごデジタルラボ事務局です。

インタビュー第15弾は,福山市神辺町の映画館「福山エーガル8シネマズ」や福山駅前でゲストハウス「AREA INN FUSHIMICHO」など,複数の事業を手がける「株式会社フューレック」様です。

企業 Profile
企業名 株式会社フューレック
本社所在地 〒720-0044 広島県福山市笠岡町4-4
業務内容 ・映像事業,フードサービス事業,中食事業,ゲストハウス,コワーキングスペース,ウェルネス事業など
企業ホームページ https://www.furec.jp/profile/

株式会社フューレック様は,複数の異なる業種を手がける中で,事業ごとに最適なデジタルツールを活用し業務改善に取り組まれています。

今回インタビューに応じてくださったのは,エリアイン事業部 マネージャー藤本 晃次 様です。

この記事でわかること
  1. デジタル技術の活用は「利益率改善」のための目的ではなく手段である
  2. 信頼関係の構築こそが改善活動の一歩である

事業部単位で最適解を探す

早速ですが御社の取り組みについて教えてください

藤本様:「利益率改善」を目的としてデジタルツールを活用しています。会社全体では,勤怠管理ツールのPSHIFT(※1),スケジュール共有ツールのdesknet’s NEO(※2),コミュニケーションツールのチーム手帳(※3)などを導入しています。

  1. ※1:株式会社ITZが提供するクラウド型勤怠管理システム
  2. ※2:株式会社ネオジャパンが提供する国産Webグループウェアで,スケジュールの管理・共有から、企業ポータル、ワークフロー、掲示板、日報、ウェブ会議、安否確認等の機能を提供
  3. ※3:リコージャパン株式会社と株式会社ドリームネッツが共同開発したビジネスコミュニケーションツール

私が担当する事業部は,ゲストハウスやコワーキングをはじめとした複数の異なる事業を手掛けています。そのため,全社共通のデジタルツールだけではなく,事業部単位の判断で「最適解」となれば個別にデジタルツールを導入しています。

ありがとうございます。事業部単位で判断される企業はあまりない印象ですが,藤本様の担当する事業部では例えばどのようなツールを活用されていらっしゃるのでしょうか?

藤本様:POSレジ(※4)のSquare(※5)をはじめ,ホテルの予約一括管理システム,資料共有としてGoogle Workspace,そしてツールではないですがGoogle広告を活用しています。

  1. ※4:お客さまから受け取った現金やクレジットカード、電子マネーなどで、商品を販売した時点の情報を取得・管理する仕組みを搭載したレジ。POSは「Point Of Sales」の略
  2. ※5:米国Square社が提供するPOSレジシステム

特にPOSレジの導入効果は絶大で,これまで全て手書きで対応していた業務が自動化され,ボタン一つで正確に集計・可視化まで可能になりました。
この導入効果が大きかったので一部の他事業へ横展開をしています。

また,ホテルの予約一括管理システムを導入することで,楽天トラベル・じゃらん・Yahoo!トラベル等複数サイトへの掲載を一括管理できるので,追加の工数をかけることなく売上の拡大に繋げることができました。加えて,Web広告の一つであるGoogle広告を利用し,これまで接点のなかったユーザーにも認知してもらえるような取り組みをしています。

AREA INN FUSHIMICHOでのインタビューの様子(写真が藤本様)

画像:AREA INN FUSHIMICHOでのインタビューの様子(写真が藤本様)

デジタル化は「利益率改善」のための手段

数々の取り組みをされていらっしゃいますが,取り組みの「目的」について教えていただけますでしょうか?

藤本様:そうですね… 目的はシンプルに「利益率改善」です。

なぜ「利益率改善」を重視しているのか紐解いていくと,先ほどデジタルツールの導入と効果についてお話しましたが,取り組みの本来の目的は企業利益の向上です。

弊社も株式会社なので,企業活動を通じてお客様にサービスを提供することに加え,会社として存続していくために利益を出していく必要があります。シンプルに考えた時,「利益=売上-コスト」の式が成り立ちます。利益を上げるためには,売上を上げるかコストを下げるか,はたまたその両方です。

先ほどのデジタルツールの導入と活用による「効率よく業務を運用していく」「手書きによる間違いを減らす」「データを瞬時に確認できるようになる」「人件費をかけずホテルの掲載サイトを増やす」といった取り組みは,利益率改善のための売上拡大,またはコスト削減に繋がっています。

デジタル化は「手段」であって「目的」ではない。といったところでしょうか?

藤本様:そうですね。デジタル化は「利益率改善」のための手段であって目的ではないので,利益率を改善できるのであれば必ずしもデジタル技術に頼る必要はありません。詳細は控えさせていただきますが,社内において「生産性向上」の意識付けに取り組んでいます。

これだけでも社員一人一人が日々の業務の中でアウトプットをより意識するようになり,「利益率改善」に繋がるような働き方をする人が増えてきました。

デジタル技術に頼らずとも仕組みを少し変えるだけで,社員の意識を変え「利益率改善」に繋げることができた一例です。

インタビューの様子(写真左が藤本様)

画像:インタビューの様子(写真左が藤本様)

コミュニケーションによる信頼関係の構築

数々の改善活動の中で反発や反対意見も多かったのではないかと思います。どのように向き合っていかれたのでしょうか?

藤本様:いくら企業の利益のための改善といっても,既存のやり方を変更したり新しく何かを始めると少なからず不安の声や反対意見はありました。

大切なのは「コミュニケーション」をしっかり取り,不安を払拭し信頼関係を構築することです。実際に生産性を高めるために実行・運用をしていくのは現場の方々であり,彼らの協力なしに進めることはできません。

やはりコミュニケーションが大切なんですね

藤本様:そうですね。私も何度も現場に足を運び「わからないところがあったら何でも自分に相談して!」と伝え,メンバーが何に悩んでいるのかを理解するために,とにかくコミュニケーションを取ることに努めました。

トップダウンで進める事も時には大切だと思いますが,現場とコミュニケーションを取りながら協力して進めていくことも大切です。

ありがとうございます。最後に今後の展望について教えていただけますでしょうか?

藤本様:私の担当する事業部は,ゲストハウス・コワーキングスペース・ウェルネスと広くお客様に価値を提供するサービス業です。今後のサービス業では,より一層カスタマージャーニー(※6)を意識することが重要です。

  1. ※6:商品やサービスの販売促進において,その商品・サービスを購入または利用する人物像を設定し,その行動,思考,感情を分析し,認知から検討,購入・利用へ至るシナリオを時系列で捉える考え方

冒頭でGoogle広告を活用している旨をお伝えしましたが,Google広告は宣伝としての側面もある一方カスタマージャーニーを知るという目的もあります。今後は段階的にデジタルマーケティングを活用し,お客様とのタッチポイントを増やすことで,より質の高いサービスを提供していけたらと考えています。

貴重なお話をありがとうございました

インタビュー記者の感想

デジタル技術の活用は「目的」ではなく「手段」であり,企業として利益を出していくためには,きちんと現場とコミュニケーションを取りながら力をあわせて進めていくことが大切であるとわかりました。

お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。

取材者:びんごデジタルラボ事務局