企業インタビュー#12 ~丸加ホールディングス株式会社~

こんにちは。びんごデジタルラボ事務局です。

インタビュー第12弾は,DIGILAB10に登壇していただいた 「丸加ホールディングス株式会社」様です。

企業 Profile
企業名 丸加ホールディングス株式会社
本社所在地 〒720-0067 広島県福山市西町2丁目10番-1号
福山商工会議所8階
業務内容 ・グループ経営戦略立案および事業会社の総括管理等
企業ホームページ https://www.maruka-holdings.jp/

丸加ホールディングス様は,海陸運輸構内事業における作業管理やグループ会社全体の勤怠管理に関する課題を解決するために,デジタルツールを活用することで「業務の精度向上や効率化」に取り組まれていらっしゃいます。

今回インタビューに応じてくださったのは,執行役員 人事総務部 部長 松尾 明徳 様財務システム部 係長 高尾 真友 様のお二人です。

この記事でわかること
  1. 自社業務・課題解決にあったデジタルツールの活用
  2. 安易なシステム構築よりも汎用性の高いデジタルツールで対応

自社業務にあったデジタルツールで課題を解決

早速ですが御社の取り組みについて教えていただけますか?

松尾様:当グループ会社の事業は,物流事業とものづくり事業の2つの柱があり,トラック輸送や危険物輸送,港湾荷役業,クレーン作業,天井クレーンの製造等の業務があります。弊社の業務はグループ会社全体の経理処理や勤怠管理等になります。

構内物流事業においては,荷主との契約内容(輸送した積荷の重さや距離,稼働工数等)に基づいて請求処理をします。この関係で,輸送業務に従事する従業員がどの契約でどのくらい稼働したかの作業管理が,会社経営に直結するほど非常に重要な部分になります。

また,請求単価が2000件近くあり,この単価も月単位で変更する場合もあります。
勤怠管理においても,10以上ある部署で月々の出勤日数や勤務体系の異なる勤務をしております。この関係で,それぞれにあった勤務表をExcelで作成し,各部署に配布していました。200名いる従業員に記載して提出してもらったものを紙に印刷して確認し,毎月10日の給与支給日までに処理する必要があります。入力漏れや入力ミスの確認・修正対応のために,年始やゴールデンウィークも出社して対応することもありました。

これらの作業管理と勤怠管理に関する課題に対して,「kintone(※1)」を活用することで業務の効率化に成功しました。

  1. ※1:サイボウズ株式会社が提供するクラウドベースのデータベースプラットフォームで,ビジネス向けに簡単なアプリケーションの作成やカスタマイズが可能
構内物流事業の様子

画像:構内物流事業の様子

ありがとうございます。業務変化についてもう少し教えていただけますか?

高尾様:過去の作業管理に関するデータ管理は,Microsoft社のExcelとAccessを活用して対応していました。管理に必要となるマスターデータは各部署や各契約単位で異なり,更に各種輸送に関する経費(燃料費用や修繕費用など)それぞれで管理しているデータと最終的に確認すべきデータとの確認作業が大変でした。

また,Microsoft社のAccessを中心にした管理システムの老朽化でメンテナンスも難しくなり,必要となる帳票も作成できない状態になりました。
Excelで出力して,更に編集・加工するような二度手間になる作業をしておりました。

「kintone」を活用することにより,手入力で更新していたマスターデータを一括更新ができるようになりました。更に,「kintone」の画面上で入力データの確認もできるようになり,効率化・工数削減ができました。
勤怠管理においても,提出された勤務表の確認項目が多いことにより,給与計算業務が属人化していました。
「kintone」の導入により,各人で「kintone」のアプリ上で勤務時間を打刻することにより勤務表に時間が反映されるため,各人で入力漏れや入力ミス等を把握出来るようになり,確認・修正に関する工数の削減ができました。

写真右が松尾様 写真左が高尾様

画像:写真右が松尾様 写真左が高尾様

御社の業務スタイルにあった「kintone」活用をされていると理解しましたが、いろいろな勤怠管理ツールがある中から「kintone」活用を選定された理由等を教えていただけますか?

松尾様:様々な市販の勤怠ソフトを試しましたが,部署によって勤務体系が異なり手当の計算ができないため,すべての部署で使える共通の勤怠ソフトが見つかりませんでした。

複数の勤怠システムを導入すると,担当者はシステムの数だけの運用方法を覚えないといけなくなります。こうなると処理が煩雑になり,効率化どころか余計に時間がかかる結果になります。
1つのシステムですべてが対応できることが業務改善の必要条件になり,「kintone」を活用して自社専用の勤怠管理システムを開発することにしました。

自社業務を把握し,それぞれの業務負荷を配慮した業務改善を推進されているのですね。

システム構築よりもデジタルツールの活用

「kintone」を導入することに至った部分についてもう少し教えていただけますか?

松尾様:弊社の業務に合ったシステムを導入しようとした場合,管理に必要な項目やマスターデータが多くかつ独自性が高いため,専用システムで対応しようとするとカスタマイズしなければならない部分が多くなります。この観点から汎用性の高い「kintone」を導入することに決めました。

高尾様:Microsoft社のExcelとAccessを中心にした業務フローであったため,データ管理面や複数人による作業が可能であるのかについて懸念事項もありました。

これらを解決できる点でも「kintone」が理想的でした。
更に,「kintone」は確認作業がしやすい様式でデータの閲覧ができる機能もあるため,大変便利でした。

ちなみに,「kintone」のアプリ作成も自社で対応されているのでしょうか?

高尾様:作業管理システムや勤務管理システムは,システム会社に依頼して開発してもらいましたが,「kintone」にはテンプレートが用意されているため,自身でも簡単なアプリなら作成することも可能です。自身で作成した作業服の在庫管理アプリを運用しております。

ありがとうございます。「kintone」を活用した業務フローが確立されており、今後もいろいろ活用されていきそうですね。その他に懸念されていることがありましたら教えていただけますか?

松尾様:入金消込・入金管理や請求書発行処理等にかなりの工数がかかっています。これら業務にAI処理があると助かりますね。まだこれからの話ですが・・・・

インタビューの様子

画像:インタビューの様子

今後の業務改善に向けた取り組みは

最後にその他の取り組みについて教えていただけますか?

松尾様:弊社においては,Microsoft365,Teams,OneDriveを活用することで在宅勤務等に対応した環境を構築しています。
これらのツールを活用することで,社内からしかアクセスできないことや同時に1人しかファイルを編集できないことなどの非効率な部分がなくなりました。
社内の連絡もメールからTeamsのチャットに変更してコミュニケーションの活性化を行っています。
実際に,コロナや育児の関係で在宅勤務を活用する社員も居りました。また,各社員へスマートフォンの貸与をしており,環境面を充実させています。

高尾様:社内のデスクトップパソコン本体や出張およびテレワーク用のパソコン,スマートフォン等それぞれ独立したものになり,それぞれで対応したメールを参照することができないためかなり非効率でした。
余談ですが,管理部門の業務としてグループ会社の全部門PCのリプレイス対応も行っています。上記のようなツールを導入したことでクラウド化が進んでいるため,データ移行作業が大変楽になりました。これもクラウド化による工数圧縮の恩恵でした。

いろいろな取り組みをされていますが,業務改善に向けた推進体制等があるのでしょうか?

松尾様:はい,あります。
社長を筆頭に財務システム部長,課長,担当者,顧問のメンバーでデジタル推進チームを立ち上げて,毎月改善に向けた検討会議をしております。

貴重なお話ありがとうございました。

インタビュー記者の感想

デジタル推進チームを起点にグループ会社一丸となって,対応されたことがこの成果につながったのだと感じました。

お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。

取材者:びんごデジタルラボ事務局