企業インタビュー#4 ~株式会社西日本メタル~

こんにちは。びんごデジタルラボ事務局です。

企業インタビュー第4弾は,昨年度の「DIGILAB5」にご登壇いただいた「株式会社西日本メタル」様です。

企業 Profile
企業名 株式会社西日本メタル
本社所在地 〒808-0109 福岡県北九州市若松区南二島二丁目15-25
福山事業所所在地 〒721-0931 広島県福山市鋼管町1番地
業務内容 ・製鉄原料の加工および販売
・製鉄所内における構内作業および鋼滓の加工処理
企業ホームページ http://www.nishimeta.com/

西日本メタル様はIPカメラ(※1)を活用した重機の遠隔操作を導入し,職場の安全性や利便性の向上に取り組まれています。
今回インタビューに応じてくださったのは,企画室係長 野添広祐様,福山事業所 原料部 主任 玉澤佑紀様のお二人です。

※1:有線LANや無線LANによる通信機能を持つカメラの形態。

この記事でわかること
  1. IPカメラを使用した重機の遠隔操作による安全性向上と業務効率化
  2. デジタル化の鍵は「スモールスタート」と「現場の声」

遠隔操作で安全性と作業効率UP

ー今回デジタル化の対象となった溶融スラグ処理について教えてください。

玉澤佑紀様:溶融スラグ処理(※2)とは,製鉄の過程で発生する液状のスラグを冷却・粉砕処理する作業です。
溶融スラグを扱う現場はかなりの高温(1,100℃〜1,300℃)となり,リスクアセスメントにおいて,屋外作業に起因する項目が高ランクに該当します。

この危険作業の本質的な改革(屋内作業環境の実現)に向けてIPカメラの導入を計画しました。

※2:溶融スラグ処理について詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。

ーIPカメラを使用した重機の遠隔操作とはどのようなものですか?

野添広祐様:簡単に説明させていただきますと,重機の作業環境にIPカメラを設置することで目視に頼らない遠隔操縦を実現するものです。

繰り返しになりますが,溶融スラグ処理は1,100℃〜1,300℃の環境で行う作業です。遠隔操縦を導入することで,屋外に出て歩き回りながら行っていた作業がカメラ映像により屋内で実現できた点が大きなポイントだと考えています。

画面中央が玉澤佑紀様,画面右側が野添広祐様

画像:画面中央が玉澤佑紀様,
画面右側が野添広祐様

ー遠隔操縦の導入に至った背景について,もう少し詳しく教えていただけますか?

玉澤佑紀様:はい。大きく物理的要因と構造的要因の2つの要因が関係しています。

物理的要因は,先ほどお伝えした「作業空間が熱く,人体が長時間耐えることのできない環境」であるという点です。 1,100℃以上の環境はイメージが付きにくいのですが,熱でプラスチックがすぐに変形してしまうぐらいの温度です。

スラグの熱による直接的な影響もありますが,現場には歩行時の転倒,大型車両との接触などのリスクも混在していました。遠隔操縦を導入することでこれらのリスクを回避することができます。

もう一つの要因である構造的要因とは,「視点移動」に多くの時間を使ってしまうという点です。目視による重機のラジコン操作では,どうしても死角となる場所が存在します。

死角を確認するために頻繁に移動を繰り返すため,かなりの時間と労力をかけていました。
遠隔操縦の導入によって,この「移動する」という行為がなくなるため,作業効率が上昇しました。

わずか半年で企画をカタチへ

ーIPカメラの導入までどのくらいの期間がかかりましたか?

野添広祐様:企画から実際の作業場で使うまでに半年ほどかかりました。

最初から全ての作業場に導入するのではなくテスト環境を構築し,検証したのち,4つある作業場のうち1箇所に導入して繰り返し改善・改良をしていきました。

ー半年で企画から実証実験まで辿り着いたのですか!?

野添広祐様:半年とお伝えすると皆さんスピード感に驚かれます(笑)

ー半年という短い期間で企画から導入まで至れる秘訣があれば教えていただけますでしょうか?

野添広祐様:はい。こちらも2つの理由があると考えています。

1つ目の理由は,「技術グループ」というDX専門の部署を社内に常設している点です。 「技術グループ」は少人数の部署ではありますが,社内外のノウハウやナレッジを一挙にまとめることをタスクとしています。

この「技術グループ」が経営層からの声だけでなく現場からの声を広く拾ったり,必要に応じて部署間の垣根を超えたまとめ役を担ってます。
週に1度,各事業所とのオンライン会議を実施しておりスピード感ある対応が実現しています。

玉澤佑紀様:2つ目の理由は,導入者と現場との距離感が近いことやコミュニケーションが活発な点です。

先ほどの「技術グループ」といった集団の存在に加えて,会社そのものの土壌(みんなで対応している意識がある,管理職にも理解がある,風通しのよい職場である)などの要因も弊社のスピード感を生み出しているのではないかと思います。

大切なのは「スモールスタート」と「現場の声」

ー参考までに御社が取り組まれている業務改善等がありましたら教えていただけますでしょうか

野添広祐様:IPカメラ関係ですと,実証実験段階では1つの作業場のみの導入でしたが今では4箇所全てに導入が完了しています。

人材教育の場面だとVR映像を活用しています。社内教育の一環として作業や安全教育といった面でVRを活用した教材を提供しています。
また,バックオフィスのデジタル化も今後さらに進めていくつもりです。

インタビューの様子

画像:インタビューの様子

ーありがとうございます。遠隔操作以外にもさまざま取り組まれていらっしゃいますが,成功の秘訣はどのようなところにあるのでしょうか?

野添広祐様:まずは「スモールスタート」だと思います。

課題や問題点を解決するためには,まずはできることからやってみることです。実行しながら問題点を明らかにし,改良・改善をする。また実行して改良・改善をする。この繰り返しだと思います。

玉澤佑紀様:私は「現場からの声」をしっかり聞いてコミュニケーションが取れていたことが成功の鍵だったと思います。

トップダウンの命令だけでなく現場や担当者からの意見を取り入れてデジタル化を進めていくことができる体制が成功に早くたどり着ける鍵だと思っています。

ーありがとうございます。最後に読者のみなさまへメッセージをいただけますでしょうか。

野添広祐様:社ではものづくりやイノベーションを促進するための環境づくりにも力を入れています。
例えば,楽しく働くための環境づくりとして,独創的な内装にしたり,バスを改築してオフィスにしたり,プロジェクトのオリジナルステッカーを作成したりしています。

弊社ではよく「楽しくはた楽」なんて表現をしたりしていますが,社員が楽しんで働ける環境の構築を目指しています。
社員が楽しんで働ける環境があることで初めて,ものづくりやイノベーションが促進されると思っています。

ー最後に,今後の展望等についてお聞かせいただけますでしょうか

今西様:今後も継続して業務改善に取り組んでいこうと思います。

弊社では業務改善の取り組みとして,スマートドライブの他にもコミュニケーションツールとしてLINE Worksを導入しています。将来的には顧客管理ツールの導入も考えていますが,ツールが増えることで管理が煩雑になってしまう恐れもあり,バランスを保ちながら弊社にベストな運用方法を見つけていきたいと考えています。

ー貴重なお話ありがとうございました。

インタビュー記者の感想

株式会社西日本メタルの野添広祐様,玉澤佑紀様にIPカメラによる遠隔操縦を中心にデジタル化の進め方についても貴重なお話を伺うことができました。
お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。

取材者:びんごデジタルラボ事務局