【DIGILAB3 登壇企業インタビュー①】有限会社広島金具製作所 ~社長のリーダーシップでデジタルツール導入へ~

DIGILAB3のテーマ「コミュケーションツール」に伴い,先行してコミュニケーションツールを導入して活用している福山市の企業へインタビューを実施しました。

こんにちは。びんごデジタルラボ事務局です。
10月25日に開催予定の第3回びんごデジタルラボ「DIGILAB3」の開催に先駆けて,登壇予定の企業2社様にインタビューをしてきました。

インタビュー企画第3弾となる本記事では,社長自らが率先してツール導入を行いデジタル活用している有限会社広島金具製作所の「代表取締役 水ノ上貴史様」へ福山市デジタル化推進課,福山市産業振興課,びんごデジタルラボ事務局でインタビューに伺いました。

社長が考えるデジタル化へのポリシー

DIGILAB3 登壇企業インタビュー①
写真:水ノ上代表取締役

  1. 早速ですが,広島金具製作所さんがどのような取り組みをされたのかお聞かせいただけますか?

水ノ上さん

  1. まず前提としてですが「アナログで管理できていない状態のままデジタルに移行しても,上手くいかない」というのが基本的な考えとなります。
    いざ運用の段階となったときに,無駄や矛盾が生まれるという事ですね。この考えのもとに,なるべく「費用をかけずに出来るものから」始めました。
  2. 例えば,在庫管理もベンダーさんが持っているパッケージソフトもありましたが,自分達のやりたいことと違うなと感じました。
    そこでインターネットで調べたところ,モニターを募集しているソフトがあり,結局それを今でも使っているのですが,自社に合わせて使い方を工夫しながら導入していきました。その過程では,ベンダーさんに要望を出しながら,使い勝手を向上させつつ今に至っています。
  3. また自社の課題に気付いていたら,より使いやすくする事が出来るし意識もどんどん上がっていくと思う。
    これが「アナログ(の環境)で管理できていることなのか,出来ていないことなのか」ということの意味です。
  1. まずは今ある業務の手順が洗練されていれば良いですし,100%ではないことが多いので,トライアンドエラーで導入することを踏まえて,コストを抑えながらできる方法をとられたという事ですね。

水ノ上さん

  1. そうですね,もう少し言うとパッケージに依存してしまうと逆に使いにくいということがある。そうなるとずっと使いにくいまま使い続けないといけない。そこで私はバラバラのものだけどうまく組み合わせて使うという事にも挑戦しています。
  1. バラバラのものと言うのは?

水ノ上さん

  1. 例えば「Google Workspace」をつまみ食い的に使いつつ,「Office 365」を使ってみる。使ってみた結果から一つのサービスに絞るのではなく,複数のサービスのいいとこどりをしていくという事です。
     こうした使い方に慣れていくと,新しいサービス,別のサービスの取り入れやすさにもつながりますので,例えばサービスが終了したといった際にも柔軟に対応ができるわけです。
  1. ありがとうございます。そうしたデジタル化によって得られた「コミュニケーションに関するメリット」を教えて頂けますか?

水ノ上さん

  1. 中小企業であれば「社長が決めて社員にやらせて,結局上手くいかない」という話はよく聞くことですけど,そうならないためにもコミュニケーションは大切な要素ですよね。
  2. 当社の基幹となるのは「Workplace」という社内だけで使うフェイスブックのようなSNSです。「Workplace」を使ってチャットと同じような感覚で,連絡事項や発注依頼をどこからでもアクセスできるような状況を作っています。みんなで受注状況を把握する。出荷担当者だけなく全員が知っておくことで,人の動きを周りがフォローしてくれるようになる。全員の動きが変わっていきました。
  3. また,会社の端末でとにかく色んな写真を撮りまくる。しっかり履歴を残すためにも撮りまくる。例えば出荷する商品から,用具の整理をした写真,トイレを掃除した写真など。写真は「Google フォト」で共有する事で,お客様からクレームがあった際に出荷状況をビジュアル的に見せることができ,用具やトイレの備品が不足しているなと言う事が全員に伝わる。といった具合ですね。
  4. 電話や文字だけではなかなか伝わらない事が,写真だとすぐに伝わります。このように情報を全員で共有できるというのが最大のメリットですね。
  1. 全員に有益な情報を共有しやすくなったということですね。結果として相互にフォローできるようになった,と。

水ノ上さん

  1. そうですね。各自のスケジュールも,今では「Google カレンダー」に書き込むようにして誰でも見られるようにしています。「今社長がどこにいて,どういった事をしている」など把握できるので,「○○の準備をしておかなければ」という行動につながる。
  2. いつでも情報を全員でシェアできるというところは非常に動きやすい環境を作ったかなと思います。集めた情報をただ持っておくだけでなく,次へつなげていくということで社内活用が進んでいます。最終的にはワンチームとなって,情報共有しながら仕事に取り組んでいく感じですね。DX化と言いますけど,目的は組織全体での生産性向上と思っています。
    ただ,いきなりそれをすると言うのは絶対に無理だから,課題を抽出してそれぞれIT化して・・・と,1つずつ解決していく。会社全体で取り組むことでコミュニケーションも取りやすくなるし,みんなで仕事をカバーし合う風土が生まれるということですね。

斬新な発想!社員が使っていた中古のスマートフォンを業務端末にリユース

  1. 広島金具さんでは業務用端末に,社員が使わなくなったスマートフォンを集めて利用しているとお聞きしましたが・・・?

水ノ上さん

  1. はい。iPhone5Sのころ,社員がみんな機種変更をしていて古い端末が余っていたので,使わなくなった端末を譲ってもらうという事を始めました。色々なデジタルツールを業務に取り入れるための準備として始めたんですね。きちんと定着するか分からないので,やはりできるだけ費用をかけずにやろうという考えから,中古端末を無料でいただきそれを活用しようと始めたわけです。勿論無理強いと言う事ではなく,理解して譲ってもらえる方からと言う事です。親戚にもお願いしたりしました。

DIGILAB3 登壇企業インタビュー①

水ノ上さん

  1. そうして環境を整えながら定着させていった訳ですが,機能に足りないものが出てきた段階で,福山市の助成金を使って「タフブック」を導入しました。
    例えばiPhoneではバーコードスキャンが出来ないといった課題が出てきて,端末を2台持つのも作業上難しいからと言うので導入にいたりました。
    今では「タフブック」にアプリケーションをすべて移行しています。
  1. ありがとうございます。結果として社内で一体となり取組まれているのだと感銘いたしました。
    IT化をするにあたってそれ相応のIT人材が必要と感じますが…。

水ノ上さん

  1. 当社では専門のIT人材はいないです。
    あえて言うならば私ですね。ですから必ず「何のためにやっているか」目的を伝えることを徹底しています。そして,自分がやることに常に問題意識を持つこと。あと丸投げにしたら絶対に人を巻き込めない。ある程度,自走し始めるまでは自分も勉強して引っ張らないといけないと思っています。
  1. デジタル導入の為にも実際のコミュニケーションは大切であると言う事ですね。
水ノ上社長はデジタルに長けておられることもあり,コミュケーションツールを使った社員とのコミュニケーション手段について非常に説得力のあるお話を聞かせていただきました。
お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。
今回インタビューに応じてくださった有限会社広島金具製作所,深江特殊鋼株式会社の2社様がパネリストとして参加頂くDIGILAB3は10月25日の開催を予定しています。

取材者:びんごデジタルラボ事務局

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